土の中に微生物がいるということは多くの方に知られていますが、
具体的にどんな微生物なのかはあまり知られていません。
今日は土の状態と微生物の関係について少し説明しようと思います。
土の中の微生物には大きく分けて3つの種類があります。
ひとつは善玉菌。いい働きをする菌です。
次に悪玉菌。
植物の病気の原因になったり、成長不良の原因になる物質を生産したりする悪い菌です。
最後に日和見菌(ひよりみきん)。
特に何をする訳でもない菌です。
土の中ではこの3つの勢力の微生物が
だいたい、2(善玉):6(日和見):2(悪玉)の割合で存在しています。
この割合が保たれている間は、土の中ではこれといっていい状態でもなく、悪い状態でもなく、
いわゆる落ち着いた状態になっています。
しかし、この2:6:2というバランスは、極めて微妙な状態であり、
土壌消毒や施肥、表面付近をちょっと耕したりなんかしただけでも簡単に崩れてしまいます。
そして、1.9(善玉):6(日和見):2.1(悪玉)という感じに
悪玉菌がほんのちょっと増えたりすると、大変なことになります。
土の中の勢力バランスは、1.9(善玉):6(日和見):2.1(悪玉)で維持されるのではなく、
1.9(善玉):8.1(悪玉)になってしまうのです!
というのも、この日和見菌というのは名前の通り
少しでも勢力の強い方を応援するように働きを変えてしまいます。
悪玉菌の方がほんの少しでも増えるような状況になると
日和見菌が悪玉菌の味方をするようになるのです。
野菜を栽培をしていて、ちょっとした植物の不調を見逃すと
たった数日で枯れてしまったりするのはこのせいです。
ではどうすればいいのでしょうか。
先ほどの逆で、善玉菌をほんの少し増やしてあげればいいのです。
仮に存在比率が0.1だけ増えたとしても、2.1(善玉):6(日和見):1.9(悪玉)が
あっという間に8.1(善玉):1.9(悪玉)に逆転してしまうのです。
自然のままでの土の中の状態は、常に善玉菌と悪玉菌がせめぎ合っている状態ですので、
善玉菌の数を増やすには、外部から善玉菌を新たに入れてやるのが効果的です。
自然界の善玉菌は、一定の数を超えると悪害を及ぼすように変化してしまうこともありますが、
自然の恵みに含まれる善玉菌は多くなればなるほど、悪玉菌の活動を抑えて、
悪影響が出にくい状態を作ることができます。
有用な微生物(善玉菌)が土の中に多く住んでいるだけで、
悪玉菌は病害を及ぼす作用が起こせなくなり、自身の勢力を増やすこともできなくなるので、
農薬や殺菌剤などを全く使わなくても農作物の生産が容易になります。
善玉菌を常時悪玉菌を凌駕するほどに土中に入れておけば、
常に日和見菌を味方にしておくことができ、土を良い状態に保つことができるようになるのです。
■ まとめ ■
・土の中には善玉菌、日和見菌、悪玉菌という三種類の微生物がいる。 ・日和見菌は勢力の強い方を応援するように働きが変わる。 ・常に善玉菌が悪玉菌を上回る状況にすれば、悪玉菌の働きを封じ込め 土を良い状態に保つことができる。 |